力ずくでは結婚できない

イソップ童話に『北風と太陽』というものがあります。北風と太陽が、旅人の上着を脱がせようと勝負をする物語です。北風は力ずくで上着を吹き飛ばそうとします。でも旅人は脱いでくれません。他方、太陽はさんさんと熱を降り注いで、上着を脱がせることに成功するという話です。

教訓としては、力ずくではうまくいくとは限らない、時には頭を使って適切な手段を用いて成功に導こうということです。

プロポーズをさせたいのならば、グイグイいくのではなく、他の手段を使うことも必要ということになります。その意味で「太陽になろう」です。柔軟な対策をとる。これが非常に重要なのです。

そこで1つの例を用いて、「太陽」になるための処方箋を解説します。

それは、「同棲」問題です。結婚にもっとも近くにいると思われるのが同棲ですが、現実はその逆。同棲は結婚とは遠いところにいるのです。以前、次のような恋愛相談を受けたことがあります。

このような話です。

カレには何かと尽くしてきた私。交際期間6年、同棲期間が3年と長いこともあって、もはや完全に嫁状態……。料理に洗濯も。もう結婚しているようなものだけに、どうやってカレに結婚を意識させればいいのでしょうか?

まさしく同棲することによって帰結する問題が満載です。結婚していないのに「嫁状態」です。交際を6年続けていると、恋愛バブルもはじけていることでしょう。ですから、同棲から結婚にもっていくのは相当な努力が必要です。

「結婚のお試しに同棲もいいかも」という女性がいますが、「同棲は結婚の最大の敵」であること心してください。なぜなら「与えすぎる女」になってしまっているからです。

同棲とは婚姻届を出すことなしに結婚生活をすることなので、男にしてみれば、料理も作ってもらえる、掃除・洗濯もしてもらえる、性行為も望めばすぐに手が届く、おまけに家賃だってシェアできる……。別れたところで戸籍に傷もつかない……。

男によって得るものはたくさんあるのに、失うものは何1つない。それが同棲です。

ですから、同棲は、結婚しないで大切なものを与えてしまうというまさに自殺行為です。どんなに彼のことが好きでも、結婚をしたいのであれば避けるべき道です。

さて、この同棲から結婚に発展しないケースですが、当然のように、女性が尽くすのが当たり前になっています。彼に意識改革を促すにはどうするか?

まず知ってもらいたいのは、結婚のプロセスは非常に長いものだということ。

相思相愛→プロポーズする→両親に会う→婚約する→婚約指輪を決める→結納をする→結婚式場を決める→宗教を決める→予算を決める→招待客を決める→二次会を決める→引き出物を決める→新婚旅行の行き先を決める→新居を決める→家財道具を買う→役所に届ける→結婚式→新婚旅行→お土産→あいさつ

等々、これ以外にもやるべきことがたくさんあります。

プロポーズする側の男は、結婚に至るプロセスを考えただけめまいがしてくるはずです。同棲して「めんどくさがり病」が染みついている状態ではなおさらです。

ですから、1つひとつ、不安を取り除いてあげることが必要になってくるのです。したがって、順次ゆさぶりをかけて結婚に持ち込みたいものです。

戦略の波状攻撃です。第1に、「引きの戦略」を利用しましょう。「引きの戦略」というのは、「自分の感情を抑えて、相手との距離を意図的に広げる」ものです。相手が押せば引き、引けば押す。それもポーカーフェイスで。この方法で、尽くすのが当たり前の状況を変えるのです。

本来なら、相手のペースに乗らす「しばらく会わない」とか「自分の都合で会う」などして彼の「恋愛飢餓感」をあおることがもっとも効果的なのですが、すでに同棲中ということですから、「たまに実家に帰ってみる」「友人宅に泊まる」「女友だちと旅行に行って、しばらく家を空ける」などして、彼のそばに「あなたがいない環境」を意図的に作り出してみましょう。

「あれ? なんかペースが狂うな……」「妙に寂しいなあ」と、彼に思わせたらこっちのものです。

ふだん、当たり前のように尽くしてもらっている男にとって、これは効果絶大です。着替えのシャツの場所もわからないような甘えきった彼にとって、女性の不在は日常に大混乱を引き起こし、「アイツがいなきや、オレはダメなんだ……」ということになります。

引きの法則を上手に使うことで、彼に〈自立〉を促し、ありがたみをしっかり再認識させましょう。同時に、〈引く〉ことで、自分自身も何か新しいものが見えてくるかもしれません。

第2は、「兵糧攻め」です。歴史の教科書でもおなじみのこの戦法は、「敵の食料補給路を断つことで、じわじわと相手を苦しめて打ち負かす」というもので、戦国時代、城にこもっだ敵を倒すには非常に有効でした。

3年も同棲していれば、彼は手料理にも慣れているはず。それをしばらく断つのです。もしも、これまで彼に手料理を食べさせたことがないのであれば、これから3ヵ月間、集中して手料理をふるまいましよう。そして彼の脳にくせがついたところで、兵糧攻めに入ります。どんなにせがまれても手料理を作らす、食べさせない。

この一手、時間はかかりますが、料理のできない男性にはとくに有効です。当たり前だと思っていた、女性の手料理を食べることができず、ついにはギブアップ=プロポーズ。「男は胃袋でつなげ」という言葉、肝に銘じてください。

第3には、「遠交近攻策」です。「遠きと交わり、近吉を攻める」戦術は、兵法三十六計の第二十三計にあたる戦術です。

たとえば、結婚に至る場合には、ます相手の両親に気に入られ(遠くの敵と親交を深めて)、近くの敵を侵攻するのが良いという戦略です。

偶然に出会ったでも良いですし、2人が同棲している場所に突然現れたでも良いですが、顔をお互いが見るだけの「単純接触」だけでも充分です。

恋愛は2人だけのものだけれど、結婚は2人に始まる家族のものです。彼と自分だけの世界で完結せす、彼の両親、自分の両親、兄弟、友人たち……それぞれとさまざまにつながることで、結婚に結びつく本当の「縁」が育っていくのだと思います。

最後は、「強硬手段」という道もないわけではありません。同棲している以上、男のほうも覚悟は決めているはずです。「できちゃった婚」の覚悟です。

英語で「できちゃった婚」とは「shotgun wedding」と言います。18~19世紀の米国において、妊娠した父親が銃を突きつけて男に結婚を迫ったことに由来しています。

「できちゃった婚」による出産は、全婚姻の25.3%を占めています。なんと4分の1が「でき婚」の時代なのです。もちろん、年齢層によって、割合が異なります。10代の結婚のうち85%が「でき婚」、20代でもだいたい50%程度が、妊娠が先で結婚が後を追う形です。

「でき婚」が生じるのは、性行為中に避妊具をつけない、という単純な理由です。「なんと不注意なんだ」と責めたいところですが、全婚姻の4分の1を構成し、日本の少子化問題を食い止めている事実といった側面もあります。

ただし、「でき婚」にたどり着けるかどうか難しい(でき婚と人工中絶の割合は1:2で、人工中絶のほうが断然多い)ので、ハイリスクハイリターンではあります。ケースバイケースで強硬手段というものも選択肢のひとつにあることを、知っておくのも良いかもしれません。